自分たち夫婦に子どもができない場合などには、特別養子縁組を利用して子どもと養子縁組をすることが多いです。

このとき、アメリカなどの他国の国籍の子どもと養子縁組することはできるのでしょうか。その場合の手続き方法や、子どものビザがどうなるのかなども知っておきたいところです。

そこで今回は、他国の国籍の子どもと特別養子縁組する方法について、解説します。

1.特別養子縁組とは

自分の実子ではない子どもを家庭に迎え入れる方法にはいくつかの種類がありますが、中でも特別養子縁組はよく利用される制度です。

特別養子縁組とは、子どもと子どもの実親との法律上の親子関係が切れてしまうタイプの養子縁組のことです。

たとえば、特別養子縁組をすると、戸籍上も子どもは養親の「長男」「長女」などと記載されることとなり、本当の親子と変わらない取り扱いを受けます。特別養子縁組をした場合には、子どもの親権者も養親に移ります

これらは、一般的な養子縁組には認められない特別養子縁組の効果です。

 

2.他国の子どもと養子縁組する場合に適用される法律

子どもと養子縁組をする場合、その子どもが日本人とは限りません。外国籍の子どもと養子縁組をする場合にも、特別養子縁組を利用することができるのでしょうか?

まず、外国籍の子どもと特別養子縁組をすることは可能です。このように、養親と養子が異なる国籍の場合に養子縁組をする方法のことを、国際養子縁組と言います

そして、国際養子縁組をする場合には、どのような法律にもとづいて養子縁組の手続きを進めるかが問題になります。

養親と養子が異なる国籍の場合には、養子縁組の制度について、養親と養子の国の手続きが異なることが普通だからです。

2-1.原則として養親の国の法律に従う

養親と養子の国籍が異なる場合の国際養子縁組をする場合、基本的には養親の国籍の国の法律に従うことになります

よって、養親が日本人で養子が外国人の場合には、基本的に日本の法律によって養子縁組の手続きを進めることになります。

この場合、特別養子縁組の制度も利用することができます。ただし、特別養子縁組を利用するためには、特別養子縁組の条件を満たしている必要があります。

たとえば、養子となる子どもの年齢は6歳未満である必要がありますし、養親は成人した夫婦であり、そのうちどちらか一方が25歳以上である必要もあります。

さらに、養親が子どもを6ヶ月以上養育監護してきた実績も必要になります。

このように、特別養子縁組の条件をすべて満たしていれば、養子が外国籍であっても、裁判所に特別養子縁組の申立をして縁組み許可の審判をしてもらうことによって、特別養子縁組ができます。

2-2.子どもの本国法の子どもの保護要件も必要

外国人の子どもと養子縁組をする場合には、1点注意しなければならないことがあります。それは、子どもの本国法に、子どもを保護するための要件が定められている場合、その内容も満たさなければならないということです

たとえば、子どもの本国法で、子どもと養子縁組をするためには、子どもと1年以上一緒に暮らさなければならないと定められているとします。

このような定めは、日本の法律にはないため、日本人の子どもと養子縁組する場合には満たす必要はありません。

しかし、これは子どもの保護のための規定なので、子どもの本国法にこのような定めがある場合には、子どもと1年以上一緒に暮らした上でなければ子どもと養子縁組することができないことになります。

 

3.どこの裁判所で特別養子縁組を利用するか?

外国人の子どもと特別養子縁組をする場合、どこの裁判所で審判をしてもらうかという問題があります。この場合、利用する法律は日本の法律ですが、必ずしも日本の裁判所で手続きをしないといけないわけではありません。

日本の民法の内容に即していれば、外国の裁判所で手続きすることも可能です。

よって、たとえばアメリカ人の子どもと特別養子縁組をする場合に、アメリカの裁判所で審判してもらうこともできます。

ただ、このようなことは大変な手間がかかりますし、日本の裁判所を利用するよりも大幅に時間がかかってしまうことが多いです。

よって、外国人の子どもと特別養子縁組する場合には、通常は日本の家庭裁判所を利用します。特別養子縁組の申立先の裁判所は、養親が居住する住所地を管轄する裁判所になります

 

4.子どもの本国法を調べる必要がある

外国人の子どもと特別養子縁組をする場合には、日本の民法が適用されるので、日本の家庭裁判所で手続きをするのが便利です。

ただし、外国人の子どもが養子となる場合には、その子どもの保護要件については、子どもの本国法を守る必要があります。

そこで、日本の家庭裁判所で特別養子縁組の手続きをするとしても、子どもの本国法の養子縁組についての調査をきちんと行う必要があります。

調査不足で子どもの本国法の要件を満たさずに日本の家庭裁判所に特別養子縁組の申立をしても、縁組みの許可が下りないことになるので注意が必要です

 

5.子どもを呼び寄せる際のビザについて

外国籍の子どもと特別養子縁組する際にも、子どもを6ヶ月以上養育した実績が必要になります。特別養子縁組は、子どもを保護する目的を持っているので、いきなり養親と養子が親子になるということは認めていません。

特別養子縁組を認める前に、まずは最低6ヶ月間実際に養親と養子が暮らしてみて、その様子を見て問題がなければ特別養子縁組を認めるという制度になっています。このことは、子どもが外国籍でも同じことです。

よって、子どもが外国籍の場合には、まずは日本に子どもを呼び寄せて、一緒に暮らす必要があります。
このときの、外国籍の子どもにはビザがないので、ビザを申請する必要があります。

通常、外国籍の子どもを日本に呼び寄せる際には、短期滞在ビザを申請することが多いです。この場合、必ずしもスムーズにビザが発給されるとは限らないので、ビザ発給や利用の目的について、きちんと丁寧に説明することが大切です。

 

6.特別養子縁組成立後のビザについて

特別養子縁組が成立したら、その外国人の子どものビザはどのようになるのでしょうか。この場合には、「日本の配偶者等」というビザが発給されます。

よって、特別養子縁組の成立後は、子どもは比較的自由に日本に出入国ができるようになります。日本人の養子として長期間日本で暮らした場合などには、帰化して日本国籍を取得することもできます。

これに対して、普通養子縁組の場合には、子どもが6歳未満の場合に限って定住者のビザが発給されるだけなので、これと比べても特別養子縁組と普通養子縁組には違いがあることがわかります。

特別養子縁組は、より養親と子どもが本当の親子に近い取り扱いを受けるのです。

 

7.夫婦でない場合に外国で特別養子縁組できる?

日本では、特別養子縁組を利用する場合には、養親は夫婦である必要があります。独身者や同性愛者のカップルの場合には、特別養子縁組で子どもを養子にすることはできません

では、独身者や同性愛者のカップルなどの場合でも、外国人の子どもとの間で、外国の裁判所を利用すれば特別養子縁組をすることはできるのでしょうか?

残念ながら、それは不可能です。国際養子縁組を利用する場合には、養親の本国法が適用されます。よって、日本人が養親の場合には、日本の民法が適用されます。

日本の民法では、特別養子縁組をするためには養親は夫婦である必要があるので、独身者や同性愛のカップルなどの場合には特別養子縁組ができないのです。

このことは、外国の裁判所を利用しても同じことです。

独身者や同性愛者のカップルなどが子どもを養子にしたい場合には、特別養子縁組ではなく普通養子縁組を利用することができます

普通養子縁組であれば、戸籍上の夫婦でなくても20歳以上の人であれば養親となることができます。よって、独身者でも同性愛のカップルなどでも、子どもと養子縁組をすることが可能になるのです。

 

まとめ

今回は、外国籍の子どもと養子縁組をする手続き方法について解説しました。養親と養子の国籍が異なる場合の国際養子縁組では、原則として養親の国の法律が適用されます。ただし、子どもの保護のための要件については、子どもの本国法も適用されます。

日本人が養親となる場合には、日本の家庭裁判所で特別養子縁組をすると良いでしょう。

特別養子縁組をすると、子どもには「日本の配偶者等」のビザが発給されます。外国籍の子どもとの養子縁組をする場合には、ぜひとも今回の記事を参考にして手続きをしてみてください。