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児童養護施設について

 

皆さんは児童養護施設について、どのくらいのことを知っているでしょうか。

「親は亡くなった子どもが入る施設?」や「最近、児童養護施設は増えてきた。」

などとのイメージや知識だけでは、

児童養護施設について知っているということにはなりません。

 

児童養護施設について深く知ることは、

それらの施設に入った子ども達のことを深く知るために必要な事とです。

そこで、ここでは児童養護施設について詳しく説明していきます。

 

意外と古い、児童養護施設の歴史

 
児童養護施設という言葉は1998年から使われるようになりましたが、

それ以前にも孤児院、養護施設という名で、同じような施設が存在していました。

 

その中でも一番古い“児童養護施設”は、

聖徳太子が西暦593年に作った「悲田院」という施設です。

これは仏教の慈悲の思想に基づいて、貧しい人や孤児を救うために作られました。

これは純粋な孤児院とまでは行きませんが、

行き先を失った子どもたちを救った、重要な施設です。

 

この悲田院の後も、和気広虫、石井十次ら多数の人物によって

児童養護施設に類するものが作られ、それにより多くの子どもたちが救われました。

児童養護施設が国や地方自治体などによって支援される以前から、

人々の間で支援するための努力がなされていました。

 

児童養護施設とは?

 

児童養護施設は、児童福祉法41条において、

「児童養護施設は、保護者のない児童、虐待されている児童など、

環境上養護を要する児童を入所させて、

これを養護し、あわせて退所した者に対する

相談その他の自立のための援助を行うことを目的とする施設」と定義されています。

 

少し難しく書かれていますが、

要するに児童養護施設は子どものための施設だということです。

 

何らかの理由で、親から離れなくてはいけなかった子どもたちを救い、

自立した生活を送らせてあげることができるよう、

支援するのが児童養護施設が存在する目的です。

次の章では、児童養護施設に入所する理由を紹介します。

 

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児童養護施設に入る理由、1位は「親からの虐待」

 

児童養護施設というと、先ほども冒頭で述べたように、

「親は亡くなった子どもが入る施設?」と思ってしまいがちですが、

実は入所する理由の1位は親からの虐待です。

 

児童相談所に報告される児童虐待の数は、

1990年から2010年の20年間でおよそ50倍以上に増えています。

その児童虐待の背景には、母親の育児等に対するストレスが考えられています。

 

夫や父母の助けが十分になかった等の理由が重なることで、

思い通りにいかない子育てに一人で悩んでいるため、

このストレスは生じるのだと考えられています。

 

そのようなストレスによる理由以外にも、

親の病気や経済的理由などによって子どもを預ける親も少なくありません。

これら様々な原因により、子どもたちは児童養護施設入所します。

そんな児童養護施設は、職員の力なしでは運営することは出来ません。

そこで次章では、児童養護施設の現状、特に職員の現状について紹介します。

 

児童養護施設職員の現状

 

全国に約590施設の児童養護施設があり、

その児童養護施設には合計約30,000人の子どもたち(2歳から18歳)が生活しています。

施設によって、大きさ異なりますが、小規模な所で定員約30名、

大規模な施設では定員が200名を超えるところもあります。

 

そんな児童養護施設で、子どもたちと一緒に生活している職員(児童指導員あるいは保育士)は、

親と離れて入所した子どもたちにとっての親代わりとなる、重要な存在です。

ところが、2012年度に児童養護施設に置かれる職員数の最低基準が引き上げられ、

小学生以上の子ども5.5人に対して1人の職員が生活の世話をすることになりましたが、

それまでは子ども6人に対して職員1人と定められてきました。

 

「子ども6人に対して職員1人」になったとはいえ、

1人の職員が同時に6人の子どもたちの世話をし、

毎日の様子を日記等に記録し、

それぞれの学校の行事に親の代わりとして出席しなければなりません。

 

これらのことは子どもたち一人一人が将来、一人で生きていくために必要なことですが、

子どもを6人同時に育てるのは非常に大変な労働となることが分かります。

非常に厳しい労働環境を強いられる職員の力によって、

子どもたちは自立することができます。

そんな児童養護施設で、子どもたちはどのような生活を送っているのか、次の章で紹介します。

 

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施設内での子どもたちの生活

 

前章までで児童養護施設について紹介してきましたが、

ここでは実際の施設内での生活について紹介します。

子どもたちは施設で寝泊りをして、学校へ行き、放課後は遊びます。

遊んだ後は施設へ帰ってきて食事をします。

 

また、施設によっても異なりますが、お小遣いをもらったり、

習い事をしたりなど、施設の子どもたちも一般的な生活を送っています。

しかし、施設それぞれにルールがあったり、プライバシーが守られていないなど、

問題のある施設も実際には存在します。

 

さらに、子どもたちへの人的・財政的サポートは

充分になされていないところもあります。

とはいえ、多くの児童養護施設では施設以外の子どもたちと

同じような生活を送ることができています。

 

また、施設に入っても、長期休みなどを利用して、

親もとへ帰る子どもたちも多くいます。

このような生活を経て、子どもたちは成長していきます。

成長した子どもたちは自立するため、自分の進む道を考える必要があります。

その際、様々な困難が待ち構えています。

 

そこで次の章では、施設を退所する子どもが困ることについて紹介していきます。

 

施設を退所した子どもたちが困ること

 

児童養護施設で生活を送った子どもたちは、

18歳で卒業すると同時に、自立した生活を送らなければいけません。

 

具体的には、ハローワークなどで仕事を探し、

そして自ら稼いだお金で、衣食住を整えて、生活をしていかなければなりません。

中には、高校生の時からアルバイトをして、

施設を出ていくときの資金を確保している子どもたちも多くいます。

 

しかし、子どもたちの中には家庭や生まれ育った環境から、

基本的な生活能力や、円滑なコミュニケーションをとる力、

そして仕事に対する意欲などが低い子どもが少なくありません。

 

また、施設で行っていた集団生活から、1人暮らしへ切り替えを強いられるので、

周りに相談できる人がおらず、さらに孤独感を強める子どもも少なくありません。

さらに、お金や人間関係などのトラブルになっても、自力で乗り越えられず、

誰にも相談できずにいるうちに、かえって問題を大きくしてしまうことがあります。

 

さいごに

 

施設を出た子どもたちは、それぞれ自立した道を進んでいきます。

しかし、そんな彼らを偏見の目で見る大人は少なくありません。

実際、児童養護施設出身の人は、他の人と比べて就職しにくいです。

 

もちろん、このような現状は決して良い、望ましいことではありません。

国や自治体の支援だけでなく、企業や市民などの正しい理解や支援が必要です。

そこで、この記事を読んでくださった方々から、

児童養護施設出身の子どもたちに対する考え方が変わり、

彼らの人生がより良いものになればと思います。