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赤ちゃんポストの現実

赤ちゃんポストが運されたのは2007年5月のことです。日本国内のメディアのほか、外国のメディアからも注目が集まりました。運用が開始されたその日の午後に「ゆりかご」に預けられたのは新生児ではなく3歳〜4歳位の幼児でした。ゆりかごの設置に当たっては政府や行政から賛否両論も多くありました。「子供を棄ててはならない」や「育児放棄につながる」などの反対意見もあれば「きちんとしたシステムで捨てられる新生児を守ることができる」などの賛成意見もありました。

 

当初の想定ではゆりかごに預けられるのは新生児のみとみていましたが、障害児の子供なども預けられたのが現実でした。それでも「ゆりかご」の中にある病院の連絡先などから親が引き取りに来たり、戸惑っている親を見て声をかけ、相談にのってあげたり、さまざまなケースがありました。

 

慈恵病院のほか熊本県や熊本市でも赤ちゃんポスト相談用の電話窓口を設け、赤ちゃんポストの利用について相談できるように配慮しました。未婚の妊娠についての相談が多く寄せられたほか中絶についても悩んでいる女性が目立ちました。

 

運用を開始してから約10か月後にゆりかごの利用状況について慈恵病院から結果報告がありました。預けられた子供は男児女児合わせて17人で主に生後1か月未満の新生児が預けられました。「ゆりかご」を利用した母親は10代は少ない傾向で20歳代や30歳代を中心に利用する人が多く見かけられました。このうち6割は既婚者で4割は未婚の親でした。

 

事情はさまざまですが、養育困難などが預けた主な理由になります。「ゆりかご」について専門家は「新生児の子捨てが避けられる」や「子供を育てることができなくても産むことはできる」など評価している反面、「子捨てを助長する」や「出生の事実を子供に知られてはならない」など慎重な意見を投げかける専門家もいました。

 

そして二度目の「ゆりかご」の利用状況を発表した際には25人が預けられ、初年度の1.5倍の人数が預けられました。ゆりかごを利用に訪れた人はゆりかごを設置した熊本県の利用者は0人で九州や九州以外の親が利用しているのが現実でした。

 

ゆりかごは匿名で預けることができるので簡単に利用してしまう親がいるのも事実です。貧困の理由もあれば世間体や戸籍に関する家庭の諸事情など、本当にゆりかごを利用する必要性があるのか疑問に思う理由もありました。「ゆりかご」設置以来、捨て子が増加したことは現実ですが、捨てられる命を救えるという意味では大きな役割を果たしているように思えます。

 

※当団体の活動は慈恵病院とは関係ございません