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ドイツ版「ゆりかご」の現実

熊本県慈恵病院の「ゆりかご」はドイツの「ベビークラッペ」という施設を参考に設置されたものです。ドイツでも日本と同様に子捨て事件があり、病院や社会福祉団体を中心として「ベビークラッペ」が運営されています。きちんとした法的な位置づけがないため日本と同じように賛否両論がありました。「ベビークラッペ」を最初に立ち上げたのは2000年のことで、ドイツの北部ハンブルクにある社会福祉団体が設立しました。ドイツではこの立ち上げがきっかけとなりドイツ全土にベビークラッペが広がりました。

システムは日本同様で室内のベビーベッドは37度に保たれ、ベッドの中には母親にあてた手紙や赤ちゃんの足形を取りたい母親のために置かれたスタンプがあります。扉が開けられるととブザーが鳴り、係りの者が駆けつける、扉を閉めたら外からは開けられないシステムになっています。医師は常駐していませんが、近隣の医師が約10分ほどで駆けつけられるようになっています。

ドイツでも捨て子は減少しておらず、困っている女性を支援するためにも「ベビークラッペ」は必要なものと考えられています。日本のように捨てられた赤ちゃんの人数など明らかになっていませんが、放置された赤ちゃんの半数は死亡していると推測されています。

ドイツでは2000年に身元を名乗らずに出産できる「匿名出産」をベルリン南部にある病院でに取り入れました。「ベビークラッペ」を利用する母親のほとんどは自宅出産をすることが多く、母子ともに危険な状態になることがあります。そのため匿名出産を始めました。

また、このような理由以外にも宗教的背景も影響しています。キリスト教徒が多いドイツでは人工妊娠中絶が難しい状況です。日本の中絶は妊娠22週未満ですが、ドイツでは12週とされています。そのほかにも法的に定められたカウンセリングも受けなければなりません。こうした理由から匿名出産の必要性がでてきました。出産にかかる費用は病院側が負担し、匿名出産の場合、費用は免除されます。ドイツでの出産費用は1200ユーロ(日本円で約20万円)かかると言われています。

そのほかドイツには「ひまわりの家」と呼ばれる匿名出産を希望する母親や出産直後の母子が緊急的に利用できる施設があります。この施設は寄付で設立された施設で利用料は無料。施設の目的は子供を育てることに自信のない母親が子供と数週間過ごし、ゆっくり考える時間を与えることや一緒に問題の解決を図ることとしています。この施設で過ごすほとんどの母親は育児に対し肯定的な考え方になれると説明しています。

ドイツのベルリン北部に数か所ある女性相談所では妊娠相談を始め養子縁組など幅広い分野で相談を行っている施設があります。養子縁組については相談件数も多く、8週間以内に実の母親が名乗り出れば赤ちゃんを自分で養育することができるようになっています。また8週以降は養子縁組の手続きが取られ養親に引き取られる仕組みになっています。

日本とドイツの養子縁組については「家庭を与える」というドイツの考えに対して日本では家名の存続や相続税対策など家自体の都合によるものが多く、価値観が違うことがわかります。また養子縁組の機関や専門スタッフ数など日本では不十分と言えます。